YANMAR　DE30GZ-IS　中古船購入顛末記

船舶免許を未だ所有していない知人から「中古船を買って友人と3名以上で釣りを楽しみたいので相談にのって欲しい」と頼まれてしまいました・・・(-_-)
　
オーナー自身は船舶免許を所要していないが、親しい友人が管理・運行をするとのこと・・・
ただし・・その管理者も船舶免許を所有する元漁船員ではあるが磯釣り以外はほとんどしたことがないというｗｗ(-_-)

ご存じの通り、船を所有すると言うことは車両購入のように「買ってきました・・・乗ってます！」とはいかない非常に面倒な手順が必要となります

※注　中古船購入の場合、釣り場までの距離や停泊地、整備環境を含めて「まず中古船ありき！」では問題有りだと思います

釣り場と釣り方に合う中古船探し・・の前に・・停泊地の決定（台風避難時の停泊地を含む）→中古船探し→購入締結→納船整備→試運転→停泊地準備（係留保管）
→回航→管理者への操船指導→船釣り備品準備→船釣りの基本指導まで・・・・・

この全てを任されました　(>_<)
自身の船購入なら「いやっほ〜い　(^_^)v！！」で済むのですが・・・そんな金はありません(^^;)

◇先ずは停泊地の決定から
　船を購入する上で一番厄介な問題がこれです！
　地元指宿から遠く離れた場所では管理が大変
　その地元に停泊可能な、鹿児島ではそれに加えて台風時には安全に避難する場所を見つけるのが先決問題です！

　第1候補地の指宿港は勿論、周辺港まで含めて停泊可能な場所の選択を進め・・・

今回は友船の力強い協力のお陰で指宿港内に停泊可能となりなんとかこの問題をクリアしました
友船様さまですm(_ _)m

◇停泊地を決定したうえで
　指宿港から出船可能な「神瀬」「佐多岬」「長崎鼻」周辺まで、安全に常時3名以上で釣りが可能な予算に合った中古船を探します

　燃費も考慮した上で、素人が扱いやすく、仮にペラにロープ等を巻いても潜って取らずに済むこと
　常時3名の釣りを想定した場合24ftでは小さすぎるので26〜30ftのディーゼル船内外機船（ドライブ船）
　釣り専用なのでキャビンの居住性追求より前・後部デッキがフラットで広く釣りがしやすい船であること
　「洗面器」船と言われる風で振れまくる船体ではなく、風に翻弄されにくい船体であること　などなど・・

　探す上でもう一つ問題になるのが「整備環境」

　車両と違って船の整備不良は命に関わります！
　いまではネットを使えば全国各地の中古船情報が簡単に手に入りますが・・・搬入問題の他に、地元の整備工場で問題なく完全な整備が受けられるかも考えなければいけません
　やはり、他所で購入した船を「整備だけして！」といわれても・・・気持ち的にスッキリはしませんよね(^^;)　
　当然、整備が受けられる停泊地のある地元ショップ等での購入がお勧めです！

などを加味して、地元は勿論、鹿児島周辺や天草まで脚を伸ばし探すこと半年・・・

ようやく「ヤンマー舶用システム株式会社　鹿児島支店」に展示していた船に決定しました　
YANMAR　とびうお　DE30GZ-IS　30ft　170馬力マルチ付き
船歴10年　エンジンアワーメータ（使用時間）644時間

ただし・・・新船進水から10年、中古船として市場に出て3年近く陸上保管してあっただけに各部の経年劣化と稼働していないが為の劣化が各所に見られました
エンジンのアワーメーター表示は644時間とほとんど稼働していない状態で見た目は新品同様でしたが、陸揚げ時点の真水フラッシングの状況も定かでなく内部の潮害も心配でした

結構大がかりな整備をしないと、このままで進水させた場合すぐに不良箇所が出てくる可能性は否定出来ません

そこで、完全整備の項目を列記しヤンマーさんに提示し、オーナーの予算との摺り合わせを行い・・・
下記の全てについての完全整備と、納船後の整備についても、軽整備は地元、重整備が必要な際は出張修理をして頂くことで合意に至りました

エンジン・電装系オーバーホール
　順不同
　・ピストンリング（4気筒）交換
　・各部ガスケット類　ホース類　全交換
　・排気エルボ　交換（仕様では毎日稼働時は2年で要交換）
　・エンジン・ギヤ各フィルター類　交換　オイル交換時に交換
　・エンジンオイル交換（20リッター・・通常18リッター程度）　1年に1回交換
　・ギヤオイル交換（3.8リッター）　1年に1回交換
　・ドライブオイル交換　1年に1回交換　オイルシール及びベローズ交換
　・ドライブ　チルト油圧シリンダ交換
　・燃料タンク　清掃　（軽油200　L）
　・燃料フィルター　交換　軽油燃料の場合2年に一度程度点検交換
　・ファンベルト交換　通常点検で傷みがあれば交換　スペアを積載しておくこと
　・プロペラ　新品交換（旧ペラはスペアとして保管）
　・海水濾し器　点検清掃　通常点検で確認清掃のこと（防蝕亜鉛含む）
　・外部発電機　2機整備（集魚灯用およびサブバッテリー用）
　　（エンジンオルタネータ　ーエンジン・ウインドラス始動用バッテリー充電　外部24V発電機ーサブバッテリー充電
　　　外部100V発電機ーハロゲン集魚灯専用）
　・集魚灯配電盤整備（集魚灯カバー2個取外し保管・ハロゲン集魚灯2灯無し）
　・ウインチ（ウィンドラス）　整備　
　・外部作業灯およびキャビン室内灯　LED交換（エンジンルーム灯は通常球）
　・マロールリモコン（3コントロール）　コントローラ基板整備
　・エンジンコントロールボックス　新品交換　（ケーブル込み）
　・バッテリー12V 120A　エンジン始動用2台　電装品用サブバッテリー2台　交換
　・GPSプロッター魚探　KODEN　CVG-87 新品交換（インナーハル仕様）
　・ワイパー一式交換
　・船底塗装（3kg-1回塗り）　および　ドライブ塗装　一式
　・船体磨き　船体ステン部磨き
　・リモコンサーチライト修理不能のため撤去
　・キャビンスカイライトハッチ　新品交換
　・スパンカー　取り外し保管（帆は無し）
　・陽屋根　帆布　新品交換

◇　その他備品購入　順不同
　　
　　・ラーク竿受け　取付器台4個設置（ラーク上部構造のみで取付可能）
　　・ラーク竿受け　シャクリラーク上部構造のみ　2台
　　・アンカーロープ　14mm　200ｍ　自作アンカー1台　アンカー爪曲げパイプ　1本
　　・係留用左舷後部三方ローラー　1台　右舷後部用三方ローラ　追加予定
　　・スチロバール防舷材　4個
　　・仮係留ロープ　10m　2本
　　・ボートフック　1本
　　・消火　海水汲み用　赤ポリバケツ　1　ポリバケツ　2　撒餌用コンテナ　2

全整備完了後、梅雨のまっただ中の6月15日、時折豪雨の中ヤンマー整備士同乗の上試運転
連日の豪雨で延期にしていましたが梅雨の中休みの本日19日、無事に指宿港に回航しました

大ベテランの友船や他の皆様の協力を得ながら仮停泊地への停泊アンカー敷設作業